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Debian GNU/Linux 2.2 のインストール (Intel x86)
章 7 dbootstrap によるシステムの初期設定


7.1 dbootstrap 入門

dbootstrap は、インストーラがブートした後に起動する プログラムです。このプログラムが、システムの初期設定と「基本システム」 のインストールを請け負います。

dbootstrap の主な役割、およびシステム初期設定の主な目的は、 お使いになるシステムの主要な設定を行うことです。 例えば、必要ならば IP アドレスやホスト名など ネットワークに関する設定はこちらで行います。 また、「カーネルモジュール」の設定もこちらで行います。 カーネルモジュールとは、カーネルに組み込まれるドライバです。 これらのモジュールには、外部記憶装置のハードウェアドライバや、 ネットワークドライバ、特定の言語や、 他の周辺機器のサポートなどが含まれています。

お使いになるシステムの正確な動作やこれ以降のインストール作業に必要な、 これらの基本的な設定をまず最初に行います。

dbootstrap は、シンプルなキャラクタベースのアプリケーションです。 (システムによってはグラフィック機能のないものもあります。) dbootstrap の使い方は一般的にはとても簡単で、 その指示にしたがうことで、 インストールの各作業段階を順々にこなすことができます。 また、何か間違いがあったことに気づけば、 前に戻ってその作業をやり直すこともできます。

dbootstrap での操作には、矢印キー、Enter キー、 Tab を使います。

Unix や Linux に熟練されている方ならば、 2 番目の仮想コンソールを呼び出すために、 左 Alt-F2 を押してください。 つまり、スペースバーの左手にある Alt キーと、ファンクションキーの F2 を同時に押します。 こちらは ash と名付けられた Bourne shell のクローンが起動する独立したウィンドウです。 この時点では RAM ディスクからブートしているので、ご利用になれる Uniix ユーティリティには限りがあります。 ls /bin /sbin /usr/bin /usr/sbin とコマンドを入力すれば、 どんなプログラムが利用可能かを確認することができます。 メニューで行える作業はすべてメニューで行い、 シェルや他のコマンドは何か問題のある場合のみ使ってください。 特にスワップパーティションを有効にする際には、 シェルからこちらの操作を行われても、 メニューソフトウェアはそのことを検知できませんから、 常にシェルではなくメニューを使うべきです。 メニューに戻るには 左 Alt-F1 を押してください。 Linux は 64 個の仮想コンソールを提供していますが、 Rescue Floppy ではそのいくつかしか使えません。

エラーメッセージは、普通 3 番目の仮想ターミナル (tty3) にリダイレクトされます。 左 Alt-F3 (Alt キーを押しながら、 F3 ファンクションキーを押す) を押せばこのターミナルに移動することができ、 また、左 Alt-F1 を押せば dbootstrap に戻ることができます。


7.2 ``Debian GNU/Linux インストールメインメニュー''

システムによっては早過ぎて読めないかもしれませんが、``インストールプログラムは、あなたのシステムの現在の状態と、次に実行すべきインストールステップを判断します。'' というダイアログが表示されます。このダイアログボックスは、 メインメニューの各作業段階の間に表示されます。 インストールプログラム dbootstrap は その各作業段階の間にシステムの状態を調査します。 この調査の結果を用いれば、 インストールプロセスの最中にシステムが停止するようなことが起きた場合にも、 すでに済ましている作業を無駄にせずに インストールをやり直すことができます。 インストールを最初からやり直さなければならない場合も、 キーボードの設定、スワップパーティションの再有効化、 初期化済みディスクの再マウントは行う必要があります。 ただ、それ以外にこちらで行った作業は、 すべてインストーラによって保存されているでしょう。

インストールの間は ``Debian GNU/Linux インストールメインメニュー'' という見出しのついた メインメニューが表示されています。 メニューの一番上の選択肢は、インストーラ上で次にするべき項目に順次 変わっていきます。 Phil Hughes 氏は Linux ジャーナルで、Debian のインストールはニワトリ にさえ教えることができるだろうと書いています。 つまり、Debian のインストールはほとんど Enter キーをくちばしでつっつくだけだと言いたかったようです。 インストールメニューでまず選択すべきものは ``次''で 示される項目です。 システムはすでに済ませている作業を調べ、 その結果にそってこの項目を決定します。 通常は ``次'' で示される作業項目を選んでください。 こうすることで、システムインストールのその時点での次の作業段階に進みます。


7.3 ``キーボードの設定''

``次'' の項目にカーソルがあるのを確認して、Enter キーを押し、 キーボードの設定メニューに移ってください。 ご自分の母国語で使われる配列に一致するキーボードを選択するか、 また、もしご希望されるキーボードの配列が表示されていなかったならば 似た配列のものを選択してください。 なお一旦システムのインストールが完了すれば、幅広い選択肢の中からキーボ ード配列を選ぶこともできます。 (その場合は、インストールの終了後ルートアカウントで kbdconfig を実行してください。)

お使いになるキーボードの設定にカーソルを移動し、 Enter キーを押してください。 カーソルの移動には矢印キーを使ってください。 -- 矢印キーは、どんな言語のキーボードでも同じ場所にあるため、 こちらのキーボードの設定には依存しません。

もしディスクレスワークステーションにインストールされている場合は、 パーティションを作成するようなローカルディスクはありませんから、 次のいくつかの作業段階はとばされるでしょう。 その場合次の作業項目は ``ネットワークの設定'', Section 7.12 になります。 その終了後、``以前に初期化されたパーティションのマウント'', Section 7.8 で説明されているように、 マウントする NFS ルートパーティションを指定するよう求められるでしょう。


7.4 ラストチャンス!

すでにバックアップをとるようにお勧めしたかと思います。 これがディスクの中身をきれいに消去する最初の機会であり、また、古いシステム を保存する最後の機会でもあります。 もし、バックアップをとっていなかったら、 フロッピーを抜き、システムをリセットしてバックアップを行ってください。


7.5 ``ハードディスクのパーティションを切る''

まだ、Linux native (専用) パーティションと Linux swap (スワップ) パーティションのそれぞれを、 インストール前のパーティション分割, Section 4.6 で説明した方法などでは、 一つも作成されていない場合、 ``次'' で示されるメニューの項目は ``ハードディスクのパーティションを切る'' になります。 もしすでに Linux native パーティションと Linux swap パーティションを少な くとも一つずつ作成されていれば、 ``次'' で示されるメニューの項目は ``スワップパーティションの初期化と有効化'' になります。 もちろん、お使いのシステムのメモリが少なくて、 システムが始動したら直ちにスワップパーティションを 有効にするように求められたならば、この段階はとばしても結構です。 メニューの ``次'' で示される項目に関わらず、 下矢印キーを使えば ``ハードディスクのパーティションを切る'' を選ぶことができます。

``ハードディスクのパーティションを切る'' のメニューでは、 パーティションを作成できるディスクの一覧 が表示され、さらにパーティションを作成するアプリケーションが実行されます。 ``Linux native'' (type 83) ディスクパーティションは、少なくとも一つ作成 しなければなりません。また ハードディスクのパーティション分割, 章 4 で説明したように、 最低一つは ``Linux swap`` (type 82) パーティションを作成する必要があるでしょう。 もしお使いのシステムでパーティションを作成する方法が不確かな場合は、 こちらの章に戻って、そちらをお読みください。

お使いになるマシンのアーキテクチャにも依りますが、 さまざまなパーティション作成プログラムがご利用になれます。 お使いになるマシンのアーキテクチャでご利用になれるプログラムには、 以下のものがあります。

fdisk
グルに最適な、Linux オリジナルディスクパーティション作成プログラムです。 fdisk man ページをお読みください。

cfdisk
一般ユーザのための、 操作の容易なフルスクリーン表示ディスクパーティション作成プログラムです。 cfdisk man ページ をお読みください。

``ハードディスクのパーティションを切る'' を選択すると、 上記のプログラムの一つがデフォルトで実行されます。 もしデフォルトで実行されるプログラムがお望みのものでない場合は、 まずそのディスクパーティション作成プログラムを終了してから、 シェル (tty2) を起動し、お望みのプログラムの名前を (必要なら引数を添えて) 直接入力してください。 そうしたら、dbootstrap の ``ハードディスクのパーティションを切る'' という作業段階はとばして、 次の作業段階に進んでください。

スワップパーティションを別に用意することを強くお勧めしますが、 そちらを用意せずに済ましたいと強く望まれる場合、 また、お使いになるシステムに 12MB 以上の RAM が搭載されている場合は、 スワップパーティションを用意されなくても構いません。 この場合は ``スワップパーティションなしで済ませる'' という項目を選んでください。

お使いになるブートパーティションには、忘れずに "Bootable" のマークを付けてください。


7.6 ``スワップパーティションの初期化と有効化''

ディスクパーティションを一つ作成すると、 ``次'' というメニュー項目が表示されます。 こちらでは次に行なう作業を、スワップパーティションの初期化と利用開始、 初期化済みパーティションの利用開始、またはスワップパーティション無し でのインストール、の 3 つの中から選ぶことができます。 スワップパーティションの再初期化はいつ行なっても差しつかえありませんので、 よく分からない場合は、``スワップパーティションの初期化と有効化'' の項目を選んでください。

このメニュー項目を選択すると、まず最初に ``スワップデバイスとして有効化するパーティションを選択してください。'' という見出しのついたダイアログボックスが表示されます。 すでにご自分で設定されたスワップパーティションが、 標準のデバイスとして表示されているはずです。 もしそうならば、単に Return キーを押してください。

次に、初期化を行なうとそのパーティーション上のデータがすべて破壊されるために、 確認を求めるメッセージが表示されます。 もし問題がないようでしたら、``はい'' を選んでください。 初期化プログラムが実行されると画面が点滅します。


7.7 ``Linux パーティションの初期化''

ここでの次の選択項目は ``Linux パーティションの初期化'' のはずです。 もしそうではないならば、それは、 ディスクのパーティションの設定を終了していないか、あるいは、 スワップパーティションの選択をしていなかったからです。

こちらでは Linux パーティションの初期化、あるいは、すでに初期化された Linux パーティションのマウントを行なうことができます。 dbootstrap には、古いシステムを壊さずに、 システムのアップグレードをするような機能がないことには 注意してください。 システムのアップグレードをされたい場合は、 Debian それ自体にアップグレードをする機能がありますので、 dbootstrap を使う必要はありません。 Debian 2.2 へのアップグレードの手順については、 アップグレードの手引き をお読みください。

もし空ではない古いディスクパーティションを使う際に、 その中身をきれいにされたい場合は、ここでそれらの初期化を行なってください。 (これによりすべてのファイルが消去されます。) またさらに、先の作業で作成したパーティションもすべて初期化してください。 この時点で初期化されずにマウントされているパーティションは、 同じインストールフロッピーを用いて インストール作業の一部を行なうために使ったものだけでしょう。

/ ディスクパーティションの初期化とマウントを行なうために、 ``次'' というメニュー項目を選んで選んでください。 最初にマウントや初期化をしたパーティションが / (「ルート」と発音します) としてマウントされます。

/ パーティションをマウントすると、 他のインストール作業を先に進めていない限り、 ``次'' で示されるメニューの項目は ``オペレーティングシステムカーネルとモジュールのインストール'' になります。 他のパーティションをセットアップされたい場合には、 矢印キーを使って該当するメニュー項目を選択することで、 パーティションを初期化したりマウントしたりすることもできます。 もし、/boot/var/usr や、 他のファイルシステム用に、独立したパーティションを用意されている場合は、 ここでそれらの初期化やマウントを行なってください。


7.8 ``以前に初期化されたパーティションのマウント''

``Linux パーティションの初期化'', Section 7.7 の代わりに ``以前に初期化されたパーティションのマウント'' の作業を行なうこともできます。 中断してしまったインストールを再開する場合や、 すでに初期化済みのパーティションをマウントしたい場合は、 こちらの作業を行なってください。

ディスクレスワークステーションにインストールされている場合は、 この時点でリモート NFS サーバからルートパーティションを NFS マウントすべきでしょう。 標準的な NFS の文法にしたがって、つまり サーバの名前か IP アドレス:サーバの共有パス のように NFS サーバへのパスをしてしてください。 同様にさらに他のファイルシステムをマウントする必要がある場合には、 この時点で行なってください。

まだご自分のネットワークを ``ネットワークの設定'', Section 7.12 の説明の通りに設定していないならば、 NFS インストールを選択するとネットワークを設定するよう促されます。


7.9 ``オペレーティングシステムカーネルとモジュールのインストール''

ルートパーティションをマウントすると、 これ以前に dbootstrap 上で作業済みでない限り、 次のメニュー項目はこちらになるはずです。 こちらではまず最初に、ルートにマウントしたデバイスが適切なものかどうか 確認を求められます。 次に、インストールするカーネルの読み込みに利用できるデバイスの一覧が 表示されます。 カーネルとモジュールをどのデバイスからインストールするのか、 適切なものをこちらから選択してください。

ローカルファイルシステムからインストールされている場合は、まず、 そのデバイスがまだマウントされていないなら ``harddisk'' デバイスを、 マウント済みならば ``mounted'' デバイスを選んでください。 次に、ハードディスクからのブート, Section 6.3 で Debian のインストールに必要なファイルを インストールしておいたパーティションを選びます。 さらに、それらのファイルをファイルシステムのどこに置いたのか、 その場所を指定するよう求められます。その場所の指定は必ず ``/'' から始まる ようにしてしてください。 最後に dbootstrap に、実際にインストールするファイルを探すよう 指示します。もちろんお望みならば、ご自分でファイルを指定されても構いません。

フロッピーからインストールされている場合は、 まず Rescue Floppy を挿入し (こちらはおそらくドライブに挿入済みでしょう)、続いて Driver Floppies を挿入する必要があります。

カーネルとモジュールをネットワーク越しにインストールされたい場合は、 ``nfs'' を選択することでそれを行なうことができます。 お使いになるネットワークインターフェースは、 標準カーネルでサポートされたものでなければなりません。 (周辺機器およびその他のハードウェア, Section 2.4 をご覧ください。) もし選択肢に ``nfs'' がなかったならば、 ``キャンセル'' を選び、メニューを遡って ``ネットワークの設定'' を選択しなければなりません。 (``ネットワークの設定'', Section 7.12 をご覧ください。) それから、もう一度この作業段階をやり直してください。 そうしたら、``nfs'' を選択し、次に NFS サーバの名前とパスを dbootstrap に伝えます。 Rescue Floppy と Driver Floppies のイメージは NFS サーバの適切な場所に置かれているでしょうが、 これらのファイルが、 カーネルとモジュールのインストールに 利用できるようになっていなければなりません。 ``net-fetch'' needs to be documented here, please.

ディスクレスワークステーションにインストールされている場合は、 ``ネットワークの設定'', Section 7.12 の説明にしたがって、 すでにネットワークの設定を済ませているはずです。 また NFS からカーネルおよびモジュールをインストールできるよう その選択肢が表示されているはずです。 上記の通りに作業を続行してください。

あとの作業は、他のインストールメディアの場合と同様です。


7.10 ``PCMCIA サポートの設定''

``デバイスドライバモジュールの設定'' メニューを選択する前に ``PCMCIA サポートの設定'' を選択することもできます。このメニューは PCMCIA サポートを可能に するために使われます。

PCMCIA 搭載のコンピュータであっても、PCMCIA を使って Debian システムを インストール (例えば、PCMCIA イーサネットカードを使ったインストール) していないのであれば、この時点で PCMCIA の設定をする必要はありません。 インストールがすべて終わった後、PCMCIA を設定して 簡単に使用可能にすることができます。 しかし、PCMCIA ネットワークデバイスを使ってインストールしているのであ れば、``デバイスドライバモジュールの設定'' メニューの代りにこのメニューを選択して、 ネットワークの設定より先に PCMCIA サポートの設定をしなければなりません。

PCMCIA をインストールする必要があれば、``PCMCIA サポートの設定'' の方を 選んでください。``デバイスドライバモジュールの設定'' メニューの下にあるでしょう。 するとシステムにどの PCMCIA コントローラが搭載されているかを尋ねられます。 多くの場合 i82365 でしょうが、場合によっては、tcic かも知れませんので、はっきりしない場合はご自分のラップトップのベンダが 供給している仕様書を読んでみてください。そこに書いてあるはずです。 前にも言いましたように、特定のハードウェアでは特別な設定が必要になりますが、 一般的に言ってその次にあるいくつかの設定項目は空白のままにしておいても 大丈夫です。 デフォルトのままではうまく動作しないときには、 Linux PCMCIA HOWTO に情報が多数収められていますので、ご参照ください。

まれに、自分で /etc/pcmcia/config.opts を読んで編集 しなければならないこともあります。そういう時は、2 番目の仮想ターミナル (左 Alt-F2) を 開いて、そこでファイルを編集し、それから PCMCIA を再設定するか、 insmodrmmod を使って手作業でモジュール を再読み込みさせることができます。

PCMCIA が適切に設定されてインストールされたら、 次節で説明されているようにデバイスドライバの設定に戻ってください。


7.11 ``デバイスドライバモジュールの設定''

``デバイスドライバモジュールの設定'' を選び、システムにあるデバイスを探して、 各々のデバイスドライバを設定してください。これらは システムのブート時にいつでも読み込まれるようになります。

この時点ですべてのデバイスの設定を行う必要はありません。重要なのは、 基本システムのインストールで必要なデバイスの設定はすべて ここで行わなければならないということです。 これらのデバイスには、イーサネットドライバが含まれています。

インストールが済んだ後では、いつでも modconf プログラムを使って モジュールを再設定することができます。


7.12 ``ネットワークの設定''

ネットワークを使っていなくても、設定はしなければいけません。 といっても、単に最初の 2 つの質問 -- ``ホスト名を選択してください'' と ``is your system connected to a network?'' (「このシステムはネットワークに接続されていますか?」) に答えるだけで結構です。

ネットワークに接続しているならば、必要な情報, Section 3.2から収集した情報 が必要になります。もし主に PPP でネットワークに接続するのでしたら、 ここではネットワーク設定をしない NOT と選択してください。

dbootstrap がネットワークに関する いくつかの質問をしますので、必要な情報, Section 3.2 を元に答えてください。 終るとシステムはネットワークの情報をまとめて表示し、確認を求めてきます。 次に、ネットワークへの接続で主に使われている ネットワークデバイスを指定してください。ふつうは ``eth0'' (一番目のイーサネットドデバイス) でしょう。 ラップトップの場合は、 主要なネットワークデバイスは多分 ``pcmcia'' でしょう。

知っておくと役に立つかもしれない技術的な事をいくつか紹介しておきましょう。 インストーラのプログラムは、ネットワークの IP アドレスをあなたのシステムの IP アドレスとネットマスクから、ビットごとに論理積をとったものと想定します。 ブロードキャストアドレスに関しては、IP アドレスとネットマスクをビット反転したものとの論理和をとったものと想定します。 また、ゲートウェイは DNS サーバであると想定します。 もしも、もしこれらの設定がよく分からなければ、 システムが推測したものを使ってください。 これらはインストール終了後に変更することもできます。 必要であれば /etc/init.d/network を編集してください。 (Debian システムでは、デーモンは /etc/init.d/ にあるスクリプトから起動されます。)


7.13 ``基本システムのインストール''

``基本システムのインストール'' の作業段階に入ると、 基本システムの読み込みに用いるデバイスがメニューで表示されます。 適切なデバイスを選んでください。

ハードディスク上のファイルシステムや CD-ROM からのインストールを選択された場合は、 http://http.us.debian.org/debian/dists/potato/main/disks-i386/current/base2_2.tgz ファイルが置いてあるパスを指定するよう求められます。 なお、公式なメディアをお持ちの場合は、 設定するパスはデフォルトのままで正しいはずです。 そうでない場合は、基本システムのあるパスを、 利用しているメディアのマウントポイントからの相対パスとして入力してください。 ``オペレーティングシステムカーネルとモジュールのインストール'' の作業段階の場合と同様に、 dbootstrap 自体にファイルを探させても、 ご自分でプロンプトにそのパスを入力してもどちらでも結構です。

フロッピーディスクからのインストールを選択された方は、 dbootstrap の指示にしたがって、順番通りに Base Floppy を 挿入してください。 Base Floppy のいずれかが読めないようなことがあれば、 代わりのフロッピーを作成して、 もう一度すべてのフロッピーをシステムに挿入し直す必要があるでしょう。 一旦すべてのフロッピーの読み込みが終れば、 システムはフロッピーから読み込んだファイルをインストールします。 これには 10 分ほど時間がかかりますが、遅いシステムではもう少し時間がかかり、 早いシステムではより早く済むでしょう。

基本システムを NFS からインストールされる方は、ここで NFS を選択し作業を続けてください。 そのサーバと、そのサーバ上の共有ディレクトリ、 http://http.us.debian.org/debian/dists/potato/main/disks-i386/current/base2_2.tgz ファイルのある 共有ディレクトリ以下のサブディレクトリを指定するように指示されます。 NFS マウントに何か問題のあった場合には、 NFS サーバのシステム時間とクライアントのシステム時間が、 大体一致しているかどうかを確認してください。 tty2 上で date コマンドを用いることで、時間を設定することができます。 つまり、それを手で直接設定する必要があるわけです。 date(1) man ページをご参照ください。


7.14 ``基本システムの設定''

この時点で、最小の Debian システムを構築するだけのファイルは読み込みま したが、システムを稼働させる前にいくつかの設定を行わければなりません。

まずタイムゾーンを選択するよう尋ねられるでしょう。タイム ゾーンの指定方法はいくつかありますが、お勧めの方法は ``ディレクトリ:'' メニューの中から自分の国 (あるいは大陸) を選択することです。 そうすると利用可能なタイムゾーンが変わりますので、 さらに ``タイムゾーン:'' メニューの中から自分の地理位置 (例えば、国や県、州、市など) を選択します。

次に、システムの時間を GMT に設定するかローカルタイムに設定するか 尋ねられます。 ご自分のコンピュータで Unix を運用する予定ならば、GMT (つまりここでは ``はい'') を選択してください。Debian と一緒に別の OS も運用 する予定であれば、ローカルタイム (つまりここでは ``いいえ'') を選択してください。 Unix (もちろん Linux も同じく) ではシステムの時間を GMT に保ち、 その見掛けの時間をローカルタイムゾーンに変換します。これにより、 システムが夏時間やうるう年を割り出すことが容易になり、また、 異なるタイムゾーンからログインしたユーザが自分の端末で 使うタイムゾーンを個別に設定することすら可能になります。


7.15 ``Linux をハードディスクから直接ブートできるようにする''

ハードディスクから直接 Linux をブートするよう選択した場合、 かつ、 ディスクレスワークステーション以外にインストールしてる場合は、 マスターブートレコードをインストールするかどうかを尋ねられます。 ブートマネージャを使用していない (またはブートマネージャとは何か分からない)、あるいはこのマシンに 他のオペレーティングシステムを入れていない場合は、 ``はい'' と答えてください。 ``はい'' と答えるとそのままでは DOS などをブートすることが できなくなるのでご注意ください。 ``はい'' と答えると、次に電源を入れたときに自動的に Linux をブートするかどうか尋ねられます。これは、Linux をブート可能なパーティション (ハードディスクから読み込まれるパーティション) に設定します。

複数のオペレーティングシステムを一つのマシン上でブートすることは、 今でもなお魔術のようなものです。 この文書では、さまざまなブートマネージャに関する説明は行ないません。 というのも、それらは、 アーキテクチャやサブアーキテクチャによって千差万別だからです。 より詳細な情報については、 お使いになるブートマネージャのドキュメントをお読みください。 ブートマネージャに関する作業を行なう際、いくら注意しても、 注意しすぎるということがないことは覚えておいてください。 i386 の標準ブートローダは ``LILO'' と名付けられたものです。 こちらは、DOS、NT、OS/2 のブート管理など、 さまざまな機能を提供する複合的なプログラムです。 特別に何かをする必要がある場合は、 /usr/doc/lilo/ ディレクトリにある説明書をよくお読みください。 また http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/LILO.html もご覧ください。

とりあえずこの作業はとばして、あとで Linux の fdisk コマンドやプログラム activate を使って、 ブート可能なパーティションをなパーティションを設定することもできます。 なお、混乱した状況になってしまい、DOS もブートできなくなったら、 DOS のブートディスクを用意し、fdisk /mbr を使って、 DOS ブートブロックを再インストールする必要があるでしょう。

ディスクレスワークステーションにインストールされている場合、 ローカルディスクからブートできるように設定することは、 明らかに意味のないことから、この作業段階はとばされるでしょう。


7.16 ``ブートフロッピーの作成''

ハードディスクから起動する方も起動フロッピーは作成してください。 とい うのも、ブートマスタレコードからのハードディスクの起動はいつも うまくいくとは限らないからです。そういう場合でも、起動フロッピーを 使えばたいてい起動します。 ``ブートフロッピーの作成'' を選択して、空のフロッピーを挿入してください。 フォーマットして書き込みますのでフロッピーが書き込み可になっているのを 確認してください。書き込みが終ったら、「カスタムブート」とラベルに書いて、 書き込み不可にしてください。


7.17 決着のとき

新しいシステムが初めて自力でブートすることを、 電気を扱うエンジニアはスモークテストと呼んでいます。 もしフロッピードライブにフロッピーが 挿さったままであれば抜いてください。 メニューの項目から ``システムのリブート'' を選びましょう。

もし Debian を直接ブートしてうまくシステムが立ち上がらない場合には 、元のインストール用ブートメディア (例えば Rescue Floppy)、あるいは もしあればご自分で作ったカスタムブートフロッピーを 挿入してシステムを再起動してください。 もし、カスタムブートフロッピーを使っていない場合は、 おそらくブートパラメータになんらかの引数を渡す必要があるでしょう。 例えば Rescue Floppy やそれと同等の方法でブートする場合は、 rescue root=root と指定する必要があります。 root の箇所には、お使いになるルートパーティションを ``/dev/sda1'' のように当てはめてください。

今度はうまく Debian がブートするはずです。 画面には初めてインストーラをブートした時と同じメッセージが表示 され、今回はその後さらにメッセージが続きます。

FIXME: add information about fixing a messed up MBR, a common problem, and some lilo tips


7.18 ルートアカウントのパスワードを設定する

ルート (root)アカウントはスーパーユーザと呼ばれる こともあります。このアカウントは、システムのセキュリティ保護機構 すべてを超越した権限を持つログイン名です。ルートアカウントは システム管理を行う時のみ、できるだけ短い時間内で使われるべきものです。

設定するパスワードは 6 文字から 8 文字で、大文字小文字や記号を 混ぜたものにしてください。これはルート以外のユーザのパスワードでも 同じです。ルートアカウントのような強力なアカウントのパスワード設定には、 細心の注意を払ってください。辞書に載っているような単語や、 類推され易い個人的な情報の使用などは避けてください。

あなたのルートアカウントのパスワードが必要だなどと誰かが言ってきた 場合も、絶対に油断しないでください。 他のシステム管理者と協同でマシンを管理しているのでもない限り、基本的には 絶対にご自分のルートアカウントのパスワードを人に知られてはいけません。


7.19 一般ユーザの登録

システムは一般ユーザのアカウントを作るよう求めてきます。 こちらを、個人的なログインに用いるアカウントとして主に使ってください。 ルートアカウントを通常の利用や個人的なログインに使ってはいけません

なぜいけないのでしょうか? 一つには簡単にシステムに回復不能のダメージを与えられる ルート特権利用を避ける必要があるためです。 また別の理由としては、誰かが仕掛けたトロイの木馬 プログラム (これはスーパーユーザの権限を悪用してシステム全体のセキュリティを ぼろぼろにしてしまいます) をうっかり実行してしまうかもしれないからです。 Unix のシステム管理についての良書ならば、 この話題についてより詳しく解説していますので、 この話は初耳だという方はそういった本を読んでみてください。

ユーザアカウント名はお好きなものをつけてください。 例えばあなたの名前が John Smith だとすると、新アカウント名としては ``smith''、``jsmith''、``js'' などが考えられます。


7.20 シャドウパスワードのサポート

次に、システムはシャドウパスワードを使うかどうか尋ねられます。 シャドウパスワードは、Linux システムのセキュリティをいくぶん強化してくれる 機構です。 シャドウパスワードなしのシステムでは、パスワードは、 (暗号化されてはいるものの) 世界中から読むこともできる /etc/passwd ファイルに記録されています。 というのも、このファイルには重要なユーザ情報、 例えば、ユーザ ID とログイン名を対応づける情報などが納められているので、 システムにログインできる人なら誰でも参照できないと困るのです。 そのため、誰かがパスワードを手に入れようと /etc/passwd ファイルをひったくり、力任せにその暗号を破ろうとするかもしれません。

もしシャドウパスワードを使用可能にすると、パスワードは /etc/shadow に納められます。 このファイルを読み書きできるのはルートアカウントだけで、 読むことができるのも shadow グループに限られます。 そこで、シャドウパスワードを有効にすることをお勧めします。

シャドウパスワード機構の再設定は shadowconfig プログラムを 実行すればいつでも可能です。詳しくはインストール後に /usr/share/doc/passwd/README.debian.gz をお読みください。


7.21 PCMCIA サポートの取り外し

もし PCMCIA を使わないのであれば、 ここでそのサポートをシステムから取り外すことができます。 こうすることでシステム起動の過程がよりさっぱりしますし、 またカーネルの取り換えがより簡単になります。 (PCMCIA は PCMCIA ドライバ、カーネルモジュール群、カーネル自体のバージョンの関係に に大きく影響されます。)


7.22 プロフィールの選択とインストール

次にインストーラは、Debian があらかじめまとめて提供する、 ソフトウェアの設定集を使うかどうかを尋ねてきます。 新しいマシンにインストールするものは、 いつでもバッケージ毎に選択することができます。 この方法では、後程解説しますが dselect プログラムを利用します。 しかし 約 3900 もある Debian のパッケージに対して、 この方法は、ずいぶん手間のかかる作業になるでしょう。

そのため、代りにタスクプロフィールを 選択することもできます。 タスクとは、「Perl プログラミング」、「HTML ファイルの作成」、 「中国語での文書作成」など、お使いになるマシンで行う作業を指すものです。 タスクは複数選択することもできます。 一方プロフィールは、 「ネットワークサーバ」や「パーソナルワークステーション」など、 お使いのマシンが属するカテゴリーを指します。 タスクとは異なり、選択できるプロフィールは一つだけです。

手短にいうと、お急ぎの方はプロフィールを一つ選んでください。 もうすこし時間に余裕のある方は、カスタムプロフィールを選択し、 タスクをいくつか選んでください。 時間がたっぷりあり、何をインストールするか細かく管理されたい方は、 この段階はとばして dselect の全機能を使ってください。

すぐに dselect の作業段階に入ります。 タスクやプロフィールを選択された方は、 すでにパッケージの選択は完了していますので 、 dselect の「選択 (Select)」メニューは必ずとばしてください。

タスクのサイズに関する注意が表示されますが、各タスク毎に表示されるサイズは、 そのタスクに含まれるパッケージの合計のサイズです。 選択した二つのタスクに含まれるパッケージに重複がある場合、 実際に必要となるディスクの容量は、 その二つのタスクの合計のサイズよりも少ないでしょう。

一旦 (ルートおよび個人用の) 両アカウントを追加しすると、 dselect プログラムが起動します。 dselect を実行する前に、 初心者のための dselect 入門 をお読みください。 dselect では、 ご自分のシステムにインストールするパッケージを、選択することができます。 もし、ご自分のシステムにインストールされたい追加の Debian パッケージが、 CD-ROM やハードディスクにある場合や、 インターネットをご利用になれる場合は、 この dselect はすぐに役立つでしょう。 あるいは、一旦 dselect を終了し、 ご自分のシステムに Debian のパッケージを転送してから、 改めて dselect を実行することもできます。 なお dselect は、スーパーユーザ (ルートアカウント) で実行してください。


7.23 ログイン

dselect を終了すると、login プロンプトが表示されます。 ご自分のアカウントと設定したパスワードを用いて、 ログインしてください。 さあこれでシステムを使う準備はできあがりました。


7.24 PPP の設定

注意: CD-ROM からインストールされている場合や、ネットワークへ 直接接続されている場合には、この節をとばして読んでも結構です。 ネットワークがまだ設定されていない場合は、 インストーラがこちらの情報に関する注意を促してくれます。

基本システムには、完全な ppp パッケージが含まれています。 このパッケージによって、PPP を利用しての ISP への接続が可能になります。 以下は PPP 接続を設定するにあたっての基本的な解説です。 ブートディスクには、PPP の設定を手伝ってくれる pppconfig と名付けられたプログラムが収録されています。 なおダイアルアップ接続の名前を尋ねられた際には、必ず ``provider'' と名付けてください。

おそらく、pppconfig プログラムにより苦労なく PPP 接続の 設定ができるでしょう。 しかし、もしこのプログラムでうまく設定ができない場合は、 以下の解説を参照してください。

PPP を設定するためには、Linux 上でファイルを閲覧したり編集したり するという基本的なことは知っておく必要があるでしょう。 ファイルを閲覧するためには、more や、.gz 拡張子の ついた圧縮ファイル用の zmore を使います。 例えば README.debian.gz を閲覧するには、 zmore README.debian.gz と入力してください。 基本システムには二種類のテキストエディタが収録されています。 一つは ae です。 こちらは操作は非常に簡単ですが、多機能ではありません。 もう一つは、elvis-tiny です。 こちらは、機能が制限された vi のクローン版です。 なお後で、nvilessemacs といったより多機能なエディタや閲覧ソフトウェアをインストール されるとよいでしょう。

/etc/ppp/peers/provider を編集して ``/dev/modem'' を ``/dev/ttyS#'' に書き換えてください。 ここでの # はお使いになるシリアルポートの番号を表しています。 Linux 上ではこの番号は 0 から数えられますので、最初のシリアルポート (つまり COM1) が Linux 上では /dev/ttyS0 になることを覚えておいてください。 次の作業段階では /etc/chatscripts/provider を編集して、 ご自分のプロバイダの電話番号、ユーザ名、パスワードを挿入します。 パスワードの前にある ``\q'' は削除しないでください。これはパスワードを隠し て、ログファイルに残らないようにしてくれます。

多くのプロバイダはログイン手続きで、テキストモードの認証の代わりに、 PAP あるいは CHAP を使います。その両方を使うところもあります。 もしプロバイダが PAP や CHAP を求めるなら、異なる手順をふむ必要があります。 /etc/ppp/peers/provider にあるダイアル文字列 (行の先頭に ``ATDT'' があるもの) 以下をすべてコメントアウトしてから すでに説明した通りに /etc/ppp/peers/provider を修正し、 user name を付け加えてください。 こちらの name には、 接続を試みているプロバイダでのあなたのユーザ名を当てはめてください。 次に、/etc/pap-secrets あるいは /etc/chap-secrets を編集して、そちらにあなたのパスワードを入力してください。

さらに /etc/resolv.conf を編集して、 プロバイダのネームサーバ (DNS) の IP アドレスを加える必要もあります。 /etc/resolv.conf の該当行は、 nameserver xxx.xxx.xxx.xxx という形式になります。 こちらの x で示される箇所には、お使いになる IP アドレスの 番号を当てはめてください。

ご自分のプロバイダのログイン手続きが、 大半の ISP と異なるようなことがなければ、これで完了です! ルートアカウントで pon と入力して PPP 接続を開始し、 plog コマンドを利用してその手続きを監視してください。 接続を切断するためには、poff を再びルートアカウントで使用してください。


7.25 システムの残りの部分をインストールする

Debian システムの残りの部分のインストールに関する情報は、 初心者のための dselect 入門 という別の文書にあります。 なお プロフィールの選択とインストール, Section 7.22 の説明のようにプロフィールやタスクを利用 される場合、dselect の「選択 (Select)」 メニューは必ずとばしてください。


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Debian GNU/Linux 2.2 のインストール (Intel x86)
version 2.2.26, 12 June, 2001
Bruce Perens
Sven Rudolph
Igor Grobman
James Treacy
Adam Di Carlo