Unix を初めてお使いになる方は、お出かけになって何冊か本を買い、
それを少しお読みになるとよいでしょう。 Unix
FAQ
には参考となる本や
ニュースグループがたくさんあり、役に立つはずです。また、 ユーザフレンドリーな
Unix FAQ
も調べてみてください。
Linux は Unix の実装の一つです。Linux
ドキュメンテーションプロジェクト (LDP)
では Linux に関するたくさんの
HOWTO やオンラインの書籍をまとめています。
これらの文書の多くは手元のコンピュータにインストールすることもできます。
doc-linux-html
パッケージ (HTML 版) か doc-linux-text
パッケージ (テキスト版) を
インストールしてみてから、/usr/doc/HOWTO
ディレクトリを覗いてみてください。 また、国際版の LDP HOWTO も Debian
のパッケージとしてご利用いただけます。 なお、Linux JF (Japanese FAQ) Project
では、 LDP の文書の和訳など、日本語による Linux 関連文書の作成、
取りまとめなどが行なわれており、その文書の一部は doc-linux-ja
パッケージをインストールすることでも 利用できます。
Debian 固有の情報に関しては以下をご覧ください。
Debian は他のディストリビューションとは少々異なっています。 他のディストリビューションで Linux に精通された方でさえも、 システムを整然とした状態に保つためには、 Debian について知っておかなくてはならないことがあります。 この章では Debian に慣れる手助けとなる資料を紹介します。 そのためここでは、Debian の使い方を逐一説明することではなく、 ほとんど時間に余裕のない方でもこのシステムを相当手短に把握できることを 意図しています。
まず把握すべき最も重要な考え方に、Debian のパッケージングシステムがあります。 基本的に、お使いになるシステムの大部分の運用は、 このパッケージングシステムの管理にしたがって考えられるべきです。 このパッケージングシステムによって管理されるディレクトリには、 以下のディレクトリが含まれています。
/usr
(/usr/local
を除く)
/var
(/var/local
を作成し、
それ以下のディレクトリを自由に使うことは可能です)
/bin
/sbin
/lib
例えば、/usr/bin/perl
をあなたが別に用意したファイルで
置き換えたとしても、その動作には問題はありません。ただし、後で
perl
パッケージを更新すると、
あなたが設置したファイルは、パッケージによって置き換えられてしまいます。 これは
dselect
でパッケージを ``hold'' (保留)
するという操作を行うことで避けることができます。
基本システムをインストールし、 マスタブートレコードを書き込むと、 Linux がブートできるようになりますが、 それ以外の OS はおそらくブートできなくなります。 これはインストール時の選択によって異なってきます。 この節では、DOS や Windows を再びブートできるよう、 インストール前に利用していたシステムを 再び利用できるようにする方法を説明します。
LILO
は、Linux や他のオペレーティングシステムのブートが
可能なブートマネージャで、PC 規格に準拠しています。
このブートマネージャの設定は /etc/lilo.conf
ファイルによって行なわれます。 このファイルを編集した場合は、編集後必ず
lilo
コマンドを実行しなければなりません。
というのも、このプログラムを実行しないと変更が反映されないためです。
lilo.conf
ファイルでは、image および
other キーワードを含む行とそれに続く数行が重要な箇所です。
これらを用いて LILO
によってブートできるシステムを記述します。
そこでは、Linux 以外のオペレーティングシステム (other)
をブートするための設定のほか、カーネル (image) や、
ルートパーティション、追加のカーネルパラメータなどを指定することができます。
これらのキーワードは何度でも利用できます。
設定ファイルに記述された各システムの順序は重要です。 例えば、シフト
キーを押すなどして LILO
を停止しない場合、 タイムアウト
(delay) 後にあるシステムが自動的にブートされますが、
どのシステムが自動的にブートされるかはその順序によって決定されるからです。
新規にインストールした場合、現行システムのみが LILO
でブートできるように設定されます。 他の Linux カーネルをブートしたい場合は、
設定ファイル /etc/lilo.conf
を編集して、
以下の行を追加する必要があります。
image=/boot/vmlinuz.new label=new append="mcd=0x320,11" read-only
基本的な設定としては、最初の二行だけあれば十分です。
他の二行のオプションに関するより詳しい情報については、 LILO
のドキュメントをご覧ください。 こちらは /usr/share/doc/lilo/
にあります。 特に Manual.txt
をお読みください。
システムをブートする方法についてより手早く調べたい場合は、 LILO
の
man ページをご覧になるのもよいでしょう。 設定キーワードの概観については
lilo.conf(5)
を、新規設定をブートセクタにインストールする方法については lilo(8)
をご覧ください。
なお、Debian GNU/Linux では、GRUB (grub
パッケージ)、 CHOS
(chos
パッケージ)、 Extended-IPL (extipl
パッケージ)、 loadlin (loadlin
パッケージ)
といった他のブートローダもご利用いただけます。
もし、特定のプログラムに関する情報が必要ならば、まずは man プログラム名 や info プログラム名 を実行してみてください。
/usr/doc
にも有用な文書がたくさんあります。
特に、/usr/doc/HOWTO
や /usr/doc/FAQ
には興味深い情報がいくつもあります。
Debian ウェブサイト
には、Debian に関するたくさんの文書があります。 特に、Debian
FAQ
と Debian
メーリングリストアーカイブ
をご覧ください。 Debian
のコミュニティでは、ユーザがお互いにサポートを行なっています。 Debian
のメーリングリストを購読される場合は、 メーリングリストの購読
ページをご覧ください。
なお、Debian JP Project
ウェブサイト
からは、日本のユーザによる独自の情報や翻訳された文書などが利用できます。
特に、Debian
便利ワザ集
や、(内容が若干古くなってはいますが) Debian GNU/Linux
に関する Q & A
には、一度目を通されることをお勧めします。
また、日本のユーザ向けに Debian JP Project で運営されているメーリングリス
トがあります。こちらの購読や、過去の記事の閲覧、検索に関しては、 Debian JP
メーリングリスト
をご覧ください。
なぜ新しいカーネルをコンパイルしようとする人がいるのでしょうか? 確かに Debian の場合、標準で入っているカーネルは多くの機能をサポートしてい るので、ほとんどその必要はありません。しかし、以下のような目的のためには、 新しいカーネルをコンパイルすることは有益です。
カーネルをコンパイルすることを恐れないでください。楽しくて有益なことです。
Debian 流にカーネルをコンパイルすために必要なパッケージは、
kernel-package
や、 kernel-source-2.2.19
(この文書を執筆している時点で最も新しいバージョンです)、
fakeroot
、
おそらくすでにインストール済みのいくつかのパッケージです。
(その完全な一覧については /usr/share/doc/kernel-package/README.gz
をご覧ください。) 必ずしも「Debian
流」にカーネルをコンパイルする必要はありません。
しかし、カーネルの管理にパッケージングシステムを用いることは、
実際により安全で簡単です。 もちろん kernel-source-2.2.19
の代わりに Linus
氏が配付しているカーネルソースをそのまま利用することもできますが、
その場合でも、kernel-package
を用いてコンパイルを行なってください。
kernel-package
の利用にあたっては、
/usr/share/doc/kernel-package
以下のディレクトリから完全な文書をご覧いただけるでしょう。
そのため、この節では簡単な解説のみを行います。
ここでは、バージョン 2.2.19 のカーネルソースが /usr/local/src
にあると仮定します。 まずは、ルートアカウントで /usr/local/src
ディレクトリを作成し、 そのディレクトリの所有者を、
ルートではない通常お使いになるアカウントに変更してください。
続いて通常のアカウントで、 カーネルソースを展開するディレクトリに 移動
(cd /usr/local/src) し、カーネルソースを展開 (tar xzf
/usr/src/kernel-source-2.2.19.tar.gz) してから、 そのディレクトリに移動
(cd kernel-source-2.2.19/) します。
次に、カーネルコンパイルの設定を行ないます。 (X11
のインストールおよび設定が済み、それを実行中の場合は make xconfig
で、そうでない場合は make menuconfig で設定します。)
オンラインヘルプを時間をかけて読み、その設定は注意深く選択してください。
一般的に、迷った場合はそのデバイスドライバ (イーサネットカードや、 SCSI
コントローラなどの周辺機器を制御するソフトウェア) を入れた方がよいでしょう。
なお注意していただきたいのですが、
特定のハードウェアに関係のないその他のオプションで、
よく理解できないものはデフォルトの値のままにしておいてください。
また、"Loadable module support" にある "Kernel module
loader" ( デフォルトでは選択されていません) は忘れずに選択してください。
さもないと、Debian のインストールに問題が生じることもあります
続いてソースツリーのクリアと、kernel-package
のパラメータのリセットを行います。 /usr/sbin/make-kpkg clean
を実行してください。
さあ、カーネルをコンパイルしましょう。 fakeroot /usr/sbin/make-kpkg --revision=custom.1.0 kernel_image を実行してください。 バージョン番号 ``1.0'' は自由に変えられます。この番号は、 構築したカーネルを後から確認できるようにするためのものだからです。 同様に、``custom'' の箇所にもお好みのキーワード (例えばホスト名など) を使うことができます。 なお、お使いになるマシンのパワーにもよりますが、 カーネルのコンパイルには少し時間がかかります。
もし、PCMCIA の機能が必要ならば、pcmcia-source
のインストールも必要です。 ルートアカウントで /usr/src
ディレクトリに gzip で圧縮された tar ファイルを展開します。
(モジュールはそれがあるべき場所、つまり /usr/src/modules
になくてはなりません。) それから、ルートアカウントで make-kpkg
modules_image を実行します。
一旦コンパイルが完了すれば、他のパッケージと同じように、
そのカスタムカーネルをインストールすることができます。 ルートアカウントで、
dpkg -i
../kernel-image-2.2.19-subarch_custom.1.0_i386.deb
を実行してください。 subarch は、カーネルのオプションで設定された
``i586'' のような 任意のサブアーキテクチャーを表しています。 また dpkg -i
kernel-image... とすると、カーネルと一緒に
役に立つ補助的なファイルもいくつかインストールされます。
例えば、カーネルの問題をデバッグするのに役立つ System.map
や、
現行のカーネルの設定が記録されている /boot/config-2.2.19
などが適切にインストールされます。 さらに、新たに作成された
kernel-image-2.2.19
パッケージは、
カーネルイメージの情報を更新してシステムがブートできるようにするために、
自動的に lilo
を実行してもくれますので、 改めて lilo
を実行する必要はありません。 なお、モジュールパッケージを作成した場合は
同様にそれもインストールする必要があるでしょう。
さて、システムをリブートする時がやってきました。 これまでの作業の間に何か警告が表示されていたらそちらを注意深く読み、 それから shutdown -r now を実行してください。
kernel-package
に関するより詳しい情報については、
/usr/doc/kernel-package
にあるドキュメントをお読みください。