インストールを始める前に、現在使用しているシステムのすべてのファイルを バックアップしてください。インストールの手続きはハードディスクのすべての データを消す可能性があります。 インストールに用いられるプログラム群は、極めて安定しており、何年も 使用されてきたものです。しかし、誤動作が発生する 可能性は否定できません。 バックアップを取った後でも、質問に対するあなたの答えには十分注意し、 よく考えて行動に移してください。 ほんの数分間程余計に配慮することで、 何時間もの不要な作業を避けることができるかもしれません。
また、マルチブートシステムにする、つまり複数のオペレーティングシステム を共存させる場合には、既にインストールされている オペレーティングシステムの配付メディアが手元にあることを確かめてください。 特にブートドライブのパーティションを切り直す場合は、 オペレーティングシステムのブートローダーや、場合によっては (Macintosh などでは) オペレーティングシステムそのものを、 再インストールしなければならないかもしれません。
この文書に加えて、 fdisk
のマニュアル、
初心者のための dselect 入門
、
SPARC プロセッサ向け
Linux FAQ
を用意しておくとよいでしょう。
もし、コンピュータがネットワークに 24 時間フルに接続されているならば (つまり、PPP 接続ではなく Ethernet やそれと同等な接続の場合)、 ネットワーク管理者に以下の情報を尋ねておかなければなりません。
コンピュータのネットワークへの唯一の接続が、PPP やそれと同等な ダイアルアップ接続を使うシリアルライン経由の場合、 おそらくネットワーク越しに基本システムをインストールすることはしないでしょう。 システムをインストールするまでは、 ネットワークの設定について悩む必要はありません。 Debian 上で PPP の設定をするための情報については 以下の PPP の設定, Section 7.21をご覧ください。
時々インストールに先立ってシステムを調整しなければならないことがあります。 x86 プラットフォームは、これらに関しては最も悪名高いものです。 他のアーキテクチャ上では、 インストール前にすべきハードウェアの設定はかなり単純です。
この節では、Debian のインストールに先立って必要となる ハードウェアの設定について見ていきます。 一般的に、この作業ではシステムのファームウェアの設定をチェックし、 場合によってはその設定を変更する必要があります。 「ファームウェア」は、ハードウェアが利用する中核的なソフトウェアで、 (電源が投入された後) ブートプロセスの間に起動される重要なものです。
OpenBoot は、SPARC アーキテクチャのブートに必要な基本的機能を提供 するものです。 これは、x86 アーキテクチャに置ける BIOS よりはずっと優れたものですが、 機能の点では幾分似ています。 Sun のブート PROM は、 お使いのマシン上で、診断プログラムや単純なスクリプトのように、 さまざまなことが行える Forth インタープリタを内蔵しています。
ブートプロンプトを呼び出すためには、Stop キー (あるいは Type 4 キーボードより古いものでは L1 キー、 また PC キーボードアダプタをお持ちの場合は Break キー) を押しながら、A キーを押してください。 ok あるいは > というプロンプトが ブート PROM によって表示されるでしょう。 ok というプロンプトの方が好まれるかもしれません。 もし旧式のプロンプトが表示されるならば、 新式のプロンプトを表示させるために `n' キーを押してみてください。
OpenBoot を使って、特定のデバイスからブートすること、またデフォルトのブート
デバイスを変更することができます。 しかし、OpenBoot
におけるデバイスの命名法の詳細は、 いくらか知っておく必要があります。
これは、Linux
におけるデバイス名, Section 4.3 で説明した Linux
におけるデバイスの命名法とはかなり異なっています。
またそのコマンドにも、お持ちの OpenBoot
のバージョンによって若干の相違があります。 OpenBoot に関するより詳細な情報は、
Sun
OpenBoot リファレンス
にあります。
一般的に より新しいリビジョンでは OpenBoot のデバイス名に、
``floppy''、``cdrom''、``net''、``disk''、``disk2'' などが使えます。
そのそれぞれが異なる目的のために用意されています。 例えば ``net''
デバイスは、ネットワークからのブート用です。 さらに、そのデバイス名では、第 2
ディスクの第 1 パーティションから ブートするために用いられる ``disk2:a''
のように、 あるディスクの特定のパーティションを指定することもできます。
OpenBoot の完全なデバイス名は、
ドライブ名@ユニットアドレス:デバイスの引数
という形式です。 OpenBoot
のより古いリビジョンでは、デバイス名の付けられ方が若干異なります。
フロッピーデバイスは ``/fd'' と名付けられ、 SCSI
ディスクデバイスは、``sd(controller, disk-target-id,
disk-lun)'' という形式になります。 より新しいリビジョンの OpenBoot
にある show-devs コマンドは、
現行の設定済みデバイスを確認するのに有用です。 その完全な情報に関しては、
Sun
OpenBoot リファレンス
をご覧ください。
特定のデバイスからブートするためには、boot デバイス名
というコマンドを使ってください。 setenv コマンドを使えば、
その動作をデフォルトの動作に設定することができます。
しかし、設定する変数名は、OpenBoot のリビジョンによって異なります。 OpenBoot
1.x では、setenv boot-from デバイス名
というコマンドを使ってください。 それ以降のリビジョンの OpenBoot では
setenv boot-device デバイス名
というコマンドを使ってください。 なお、こちらは Solaris なら
eeprom
コマンドを利用することによって、また Linux なら
/proc/openprom/options/
にある適切なファイルを修正することによっても 設定することもできます。
(例えば、Linux 上では "cat disk1:1 >
/proc/openprom/options/boot-device" と、 Solaris 上では "eeprom
boot-device=disk1:1" とします。)
多くの人たちが、例えば 90 MHz CPU を 100 MHz
で動作させるようなことに挑戦しています。
これは時にはうまくいきますが、温度や他の要因に敏感で、
実際にシステムに損傷を与えることもあります。 この文書の著者は、自分のシステムを
1 年間オーバークロックで動作させたことがありますが、その際、
カーネルのコンパイル中に予期しないシグナルを受けて gcc
の実行が中断するようになってしまいました。 この問題は、CPU
の速度を普通に戻すことで解決しました。
gcc
コンパイラを使ってはじめて、メモリーの不良
(もしくは、予期しないデータの改竄を引き起すような他のハードウェア問題)
によって処理が中断する現象に遭遇することがよくあります。 これは
gcc
が膨大なデータ構造を構築し、それを繰り返し
使うからです。これらのデータ構造のエラーは不正な命令や存在しないアドレス
へのアクセスを引き起こします。 この徴候として gcc
が予期しないシグナルで中断するのです。