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Debian GNU/Linux 2.2 のインストール (Alpha)
章 1 Debian へようこそ


私たちは、あなたに Debian を試していただけることを嬉しく思っています。 また、数々のオペレーティングシステムディストリビューションの中にあって、 Debian が唯一無比であることに気づいていただけるとも確信しております。 Debian は、世界中から素晴らしいフリーソフトウェアをより優り、 首尾一貫したディストリビューションとしてまとめあげられています。 この集大成は、個々のソフトウェア以上の力を発揮することでしょう。


1.1 Debian GNU とは何か?

Debian GNU ディストリビューションは、 多数のソフトウェアパッケージから成り立っています。 その各パッケージは、実行プログラム、スクリプト、ドキュメント、 設定情報などから構成されています。また各パッケージには、 そのパッケージに責任を持つパッケージ開発者がいます。 Debian のめざましい発展は、このようにして実現されているのです。 Debian 社会契約 に同意していただける方は誰でも、新たな開発者になれます。 そして、新たに開発に加わった方は誰でも、新たなソフトウェアを (フリーに関する私たちの基準にそのソフトウェアが適合し、 作成されたパッケージが品質基準を満たすならば) Debian に導入することができます。

Debian フリーソフトウェアガイドライン は、Debian が掲げるフリーソフトウェアの基準に関する明解で簡潔な声明です。 この文書は、フリーソフトウェア運動にも大きな影響を及ぼしており、 オープンソースフリーソフトウェアガイドライン の基礎を提供しました。

Debian の品質基準を定める詳細な仕様書は、 Debian ポリシーのみです。 この文書は Debian のパッケージが準拠すべき品質や基準を定義しています。

あなたのシステムをトロイの木馬や他の悪意あるソフトウェアから守るために、 Debian は各パッケージが本当の Debian の 開発者によるものなのかどうかを確認しています。 また、Debian の各パッケージは より安全な設定となるように細心の注意が払われています。 もしリリースされたパッケージにセキュリティ上の問題が発生すれば、 その修正版は普通すぐに利用可能になります。 単純にお使いのシステムを定期的にアップデートすることで、 セキュリティが修正されたものをダウンロードしインストールすることもできます。

Debian に関するより一般的な情報については Debian FAQ をご覧ください。


1.2 Linux とは何か?

Linux はあなたコンピュータのためのフリーなオペレーティングシステムです。 オペレーティングシステムはコンピュータを動作させるために必要な基本プロ グラムやユーティリティから構成されますが、 その最も重要な部分がカーネルです。 ハードウェアへのアクセスや、ハードドライブの管理、 メモリーの計画的利用、といったハードウェアに関連する作業は カーネルに任せられます。 またカーネルはプログラムの起動も請け負います。 この意味での Linux は単にカーネルのことを指していますが、 人々が普段 Linux と呼ぶものは、実際には Linux カーネルと多くの GNU プログラムをベースとした GNU/Linux システムを指しています。

Linux はフィンランド出身の Linus Torvalds によって書かれ、 1991 年に初めて登場しました。 最近では、数百人の人々がこのカーネルの開発に活発に取り組んでいます。 Linus はこの開発をコーディネートし、何をカーネルに取り入れ、 何を取り入れないかについての決定も行なっています。


1.3 Hurd とは何か?

Hurd は痛んでいると多くの人々が言っているようですが、 私たちはそうは考えていません。 Hurd は Linux と似ており、それはカーネルです。 ただ、その内部動作の仕組みは異なっています。 モノリシック なLinux カーネルとは対照的に、 Hurd カーネルは MACH カーネルをベースとしたマイクロカーネルです。

Debian GNU/Hurd は、Hurd カーネルを利用した Debian GNU システムです。 その現状ですが、そのベース部分は動作しており、 ほぼ完全に運用できるものですが、いまだ開発の最中にあります。 ナッツシェル本によれば、 Hurd システムは、異なるカーネル管理を行なう Debian GNU/Linux のようにみなされるでしょう。 Debian GNU/Hurd に関心を持ち、こちらに関してもっと詳しく知りたい方は、 Debian GNU/Hurd 移植版のページ や、メーリングリスト debian-hurd@lists.debian.org をご覧ください。

Debian のメーリングリストを購読するには、 購読ページ をご覧ください。


1.4 この文書の最新版を入手する

この文書には絶えず変更が加えられています。 2.2 リリースに関する最新情報については、 Debian 2.2 ページ にて確認してください。 このインストールマニュアルの最新版は、 インストールマニュアル公式ページ からも利用できます。


1.5 この文書の構成

この文書は、初めて Debian をお使いになるユーザのために書かれたマニュアル です。お手持ちのハードウェアの動作に関しては一般的な知識があることを前提と していますが、なるべく専門的な知識がなくてもお読みいただけるよう心がけてい ます。

また熟練したユーザであっても、この文書で、最低限インストールに必要な容量や、 Debian のインストーラでサポートされるハードウェアの詳細など、 参考になる情報を得ることができるでしょう。熟練したユーザの方には、 この文書のあちこちをかいつまんでお読みになることをお勧めします。

基本的にこの文書は、実際に体験するインストールのプロセスに沿って、 順々に説明するように構成されています。インストールの各作業段階と、 それに関連するこの文書の各節は以下の通りになっています。

  1. 必要なシステム, 章 2 では、お手持ちのハードウェアがインストーラ のシステム要件を満たしているかどうかを調べます。
  2. 始める前に, 章 3 では、既存のシステムをバックアップし、 Debian のインストールに先だつシステム設計やハードウェアの設定を行います。
  3. ハードディスクのパーティション分割, 章 4 の説明にしたがって、ハードディスクのパーティ ションを分割します。 パーティションの変更は容易にはできませんので、こちらは極めて重要です。
  4. Debian のインストール方法, 章 5では、 Debian のさまざまなインストール方法を紹介します。 こちらでは適宜インストール媒体を選び、その準備をします。
  5. 次にインストーラをブートします。ブート時に関する情報は インストーラのブート, 章 6 にて扱います。またこの章では、 ブートに問題があった際のトラブルシューティングの手順についても紹介します。
  6. 初期システム設定を行います。こちらに関しては、 dbootstrap によるシステムの初期設定, 章 7dbootstrap 入門, Section 7.1 から ``ネットワークの設定'', Section 7.11 にかけて説明します。
  7. ``基本システムのインストール'', Section 7.12 からは、基本システムのインストールを行います。
  8. 決着のとき, Section 7.15 からは、 新たにインストールした基本システムからのブートと、 基本システムインストール後のいくつかの作業を行います。
  9. システムの残りの部分をインストールする, Section 7.22 では、dselectapt-get を利用してシステムの残りの部分をインストールします

一旦システムをインストールし終えたら、次のステップとそれから, 章 8 をお読みください。この章では、Unix や Debian に関するさらなる情報の所在と、 カーネルの交換の方法を説明します。 また、ソースから独自のインストーラを構築したい場合は、 ブートフロッピーに関する技術情報, 章 9 をご一読ください。

最後に 付記, 章 11 では、この文書に関する情報、 こちらへの貢献の仕方について触れます。


1.6 警告: この文書はテスト中です

この文書は、公式 Debian インストールマニュアルの 初期段階にあるプレリリースバージョンです。 不完全で未完成であること、おそらく間違いや文法上の誤りなどがあることは ご了承ください。 もし ``FIXME'' や ``TODO'' の記述があれば、その節が完全でないことが 著者にとって既知であることが確認できます。 この文書を読んでいただける方はお気を付けください。 あらゆるご協力や提案、また特に修正は歓迎いたします。

この文書の x86 以外のバージョンは、特に不完全、不正確で、校正されていない ものです。こちらの作成を手伝っていただける方も必要としています。

この文書の作業バージョンは http://www.debian.org/releases/2.2/alpha/install にあります。 そのサブディレクトリには、この文書の各アーキテクチャ向けの版があります。 また source サブディレクトリには、この文書の SGML ソースがあります。 もしこの文書を修正したい場合は、こちらをご覧になるのが適切です。 なおこちらは、boot-floppies CVS エリアから毎日再生成されていますのでご注意ください。


1.7 著作権およびソフトウェアライセンスについて

この文書を読んでいる方は、多数の商用ソフトウェアにあるようなライセンス (購入したソフトウェアのコピー 1 部を、1 台のコンピュータで使用できる) はご存知のことでしょう。しかし、 この Debian GNU/Linux システムはそのようなものとは違います。 私たちは、あなたの通っている学校や仕事場にあるすべてのコンピュータに Debian GNU/Linux をインストールすることを勧めます。また、 友達に貸して、彼らのコンピュータにインストールするのを手伝ってあげましょう。 さらには、わずかな制限にさえ気をつければ、 何千部ものコピーを作って売ることも可能です。 なぜなら、Debian はフリーソフトウェアに基づいているからです。

フリーソフトウェアとは著作権を持っていないという意味ではありません。 このソフトウェアを含む CD が無償で配布されているという 意味でもありません。フリーソフトウェアとは、 おおまかなところ個々のプログラムのライセンスにおいて、 プログラムを利用したり再配付したりする権利のためにお金を払う 必要がないことを意味しているのです。 また誰でも、そのソフトウェアを拡張したり、改造したり、修正すること、 さらにその成果を再配付することが可能であることも意味しています [1]。

このシステムに入っているプログラムの多くは、GNU 一般公有使用許諾 GNU General Public License (GPL) にしたがって 利用許諾されています。この GPL は、プログラムのコピーを配布するときには、 必ずプログラムのソースコードを利用可能にしておくことを要求しています。 これは、ユーザがそのソフトウェアを修正できることを保証するものです。 そのため、私たちは、Debian システムに含まれる GPL 準拠のプログラムの ソースコードをすべて収録しています [2]。 Debian に収録されたプログラムの著作権やソフトウェアライセンスの形式には、 他にも数種あります。それぞれのプログラムの著作権やライセンスは、 一度システムをインストールすれば、 /usr/doc/パッケージ名/copyright ファイルを探せば見つけることができます。

ライセンスや、Debian がメインディストリビューションにソフトウェアを 収録する際に用いているフリーの基準に関してより詳細な情報をお求めの場合は、 Debian フリーソフトウェアガイドライン をご覧ください。

最も重要な法律上の注意点は、このソフトウェアが無保証であることです。 これは、このソフトウェアを作成したプログラマーらがコミュニティーの利益 を考えてのことです。 ソフトウェアは、いかなる目的への利用に対しても保証されていません。 しかし、ソフトウェアがフリーであるゆえに、ユーザには必要に応じて ソフトウェアを修正する権限が与えられます。 また、このようにしてソフトウェアの拡張が誰かによってなされれば、 その利益も享受できます。


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Debian GNU/Linux 2.2 のインストール (Alpha)
version 2.2.20, 25 November, 2000
Bruce Perens
Sven Rudolph
Igor Grobman
James Treacy
Adam Di Carlo